6/20まで
”The Kasama ー 笠間焼のルーツと展開”展開催中。
「230年、まだまだ新人です」は、粋なコピーだと思います。
1000年以上の歴史を持つ
西日本の6古窯(常滑・越前・信楽・瀬戸・
丹波・備前)に比べたら、まだまだお尻が青い「新人」ではあります。
ルーツは信楽焼・相馬焼にあり、
笠間から益子へ伝えられたものの、柳宗悦らによる「民芸運動」のお陰か、今や益子焼の方が圧倒的に知名度が高い。
ポスターにある
「糠白釉(ぬかじろゆう)に青緑色の銅青釉流し掛け」や、
「柿釉に黒釉流し掛け」の
甕(かめ)やすり鉢などの生活雑器が、
伝統的な笠間焼です。
現在では、「特徴がないのが特徴」と言われる笠間焼ー信楽・備前のような
焼締めあり、美濃のような織部・志野あり、有田のような磁器もあります。
自由な雰囲気で幅広い表現活動を受け入れる懐の深さー多種多様な表現をする、茨城県内の陶芸作家は約400人も。
湯たんぽ・火鉢・酒徳利・洩瓶(しびん)などの生活用品を見て、
ロクセン博物館(
Museo Rocsen)を思い出しました。
展示品の数の多さ(2万点以上)と、収集分野の広さに圧倒されます。
ナスカ(ペルー)の”1200歳”になる女性のミイラ、恐竜の骨、世界中の蝶・
化石、骨董と言ってもいいミシン・写真機・ラジオ・時計・バイク・車・馬車・
帽子・ハンドバッグ・人形・食器・ベルリンの壁の破片などなど。
建物正面で、館長自らの彫刻ー49人の平和主義者の像が迎えてくれます。
ガンジー・アルキメデス・仏陀・マリア・キリスト・聖フランシスコ・
サンタクララなど。
閉館後に、館長が庭で話をしてくれました。
「昔は、
実用品の中に美的なものを必ず取り入れた。が、今は実用のみ。
プラスチックの発明が世界を変えた」
「博物館は、時代の変化・戦争などにより消えてゆくもの(その時代の生活・
感性を物語る”モノ”)を伝えていく責任がある。
一つの村の歴史が消えると、そのアイデンティティー・尊厳まで消え去る」
「何か悪いことが起こったら
”Why?"(なぜ)ではなく、”For what?”
(何のために)と考える。すべては、将来の何かのために必然的に起こる」
「日本は誇るべき文化・伝統・習慣を持ちながら、アメリカ帝国主義の
マイナス面に追随してきた」
「旅行中楽しみにしていた博物館の休館日に、何度も残念な思いをしたから
年中無休(9時から日没まで)にした」
22歳で、フランス大使館文化担当官としてアルゼンチンに8ヶ月赴任、
そのまま住みつき40歳で博物館を始め、現在41年め。
穏やかな語り口ながら、
美・文化・平和に対する熱い想いが伝わって
来ました。
笠間と、
アルゼンチンノノ村(NONO)のMUSEUM
- 日々の生活に潤い・彩りを添える工夫をした庶民の知恵は、
時代を超えて万国共通。
笠間焼も、毎日の生活を楽しむためのお手伝いができますように。