森村泰昌「美の教室、静聴せよ」展(~9/17横浜美術館)に行きました。
「ちょっと変?」と思って気になっていた人でしたが、個展を見終わって「相当変!」と思うようになりました。
ブルーチーズを始めて知った時、「青カビ」のついたものを食べるなんて信じられませんでした。が、個性の強いものはクセになるらしく、今では大好物です。
それと同じで、今日「モリムラ菌」に感染し、まだ潜伏期間で発症はしていませんが、体中に「菌」が回っているのを感じます。多分、時間が経つと、禁断症状が出て来ることでしょう。
展示は、実際の小学校の机と椅子に座っての”ホームルーム”から。
”1~6時間目”は、モリムラ先生による授業(音声ガイド)を聞きながら展示室を回って行きます。
モナリザやフェルメール・ゴッホなどの名画の登場人物に、森村自身が”なった”(メークや小物作りも自分でやって、写真として撮影)作品を、本人の解説付きで見るという異常な体験。
曰く、「美術との関わり方は、普通三つある。
”見る”(鑑賞)・”創る”(創造)・”知る”(資料を通じて)。自分には第4の道である
”なる”(扮装・メークなどにより、体全体で感じる)が一番ピッタリ来た」
「人類を救えるのは
”笑い”かもしれない。不幸な争いごとのもとは、”怒り”の気持ちである。核搭載したミサイルではなく、”笑い”をばらまくミサイルがあればいいのに。
それを開発できるのは政治家でも軍人でもなく、表現者である芸術家かもしれない」
「”美はかくあるべし”と決め付けるものではない。どれだけ多くの美を感じることができるかー美術館が”美的感受性のストレッチができるジム”のようになればいいと思う」
「21世紀は何かに追い立てられ追いつくように、走るように暮らしている。ちょっと立ち止まって冷静になると、とても滑稽に見える」
圧巻は、”放課後”に用意された”ミシマ・ルーム”。
1970(昭和45)年11月25日三島由紀夫が自決した、東京裁判で戦犯に判決が下された場でもある新宿陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地。
2006年4月6日その同じ場所で、三島と同じ格好をした森村は「静聴せよ」!とアジります。
圧 倒 さ れ ま し た ・・・。
「コスプレよろしく変装大好きな、妙にこだわるゲージツカ」(失礼)ではなく、熱く「芸術」を語る硬派のARTISTが、そこにはいました。
最後に”卒業試験”を受験すると、記念品がもらえます。
展示解説・音声ガイドとも英語版もあり、会場には外国人の方もいました。
本人の声による解説ははんなりとした大阪弁ですが、西洋美術史・森村の意図するものについて明解に語っています。
ジャンル分けというのも野暮ですが、森村泰昌は「現代美術」のARTISTと言うのでしょうか。
ともかく、唯一無比のエキセントリックARTISTー森村泰昌”体験”、強く強くお勧めします。