幼い頃から、無意識のうちに
「モノを作る」ことで食べていく、と感じていたという森さん。
ご両親が雑貨屋さんをやっていたため、紙・鉛筆など
「表現のための道具」はいつもそばにありました。
近くの道路は交通量が多く、
危ないからうち遊びをするように言われていたことから、自然ひとり遊びに。
描いた絵を飾って
「ギャラリーごっこ」もしたとか。
立体を作るのが特に好きで、
学校でも、図画工作が一番得意でした。
貝 形 鉢
「ヒカリモノ」好きでジュエリー関係にも関心がありましたが、
結局、
歯科技工士の道を選択。
それも「ヒカリモノ」「モノ作り」ではあります。
3年ほどして、事故で体調を崩し、
通信教育でデザインの勉強を始めたのが転機。
同時期に、画材店で働くようになり、美術関係の世界に少しずつ関わりが。
その店の方を介して、
陶芸家藤本均さんとご縁ができ、
しばらく後スタッフに。
もともとは、陶芸より、金工・木工の方に、より興味があったものの、
ご縁に導かれての選択。
窯業指導所でも学びました。
兎太夫 の 丼 ・ 長 皿
独立は2004年。
初めて見たのは、
トカゲのカップでした。
「かわいい女性が、リアルなトカゲを作る」ことにびっくり。
その後、人気の
オトナ顔ウサギの食器シリーズ。
粉引・灰釉・焼締・炭化のシンプルな器も。
ともかく薄くて軽い、繊細さが「森恭さん」の真骨頂です。
挑戦好きの森さんは、どんどん作風を広げています。
「器用貧乏」とおっしゃいますが、
その発想・表現力は、個性的で、目を見張るものがあります。
「トカゲ」の時代からの森さんファンの女性は、
在廊日にも再びご来店。
おばあちゃんの着物に、
現代作家の
手描き帯(「クモの巣」柄)をお召しになって。
森さんの着ていたTシャツが、同じ作家のものだったのは、あまりにも偶然。
「類は友を呼ぶ」ご関係かもしれません。
藤本さんによれば、
もともと「トカゲ」のような立体的造形を好んで作る、
ちょっと変わった面白い感性を持っていた。
高校の同級生によれば、
美術には抜きん出た能力を発揮していた。
転職して、やきものを始めたのも「やっぱり」と思った。
茶運びなどのからくり人形・市松人形・ビスクドールなど、
人形―特に顔・表情―作りが、好きな森さん。
心を込めると魂が宿るお人形を、いつか創りたいとのこと。
今回のウサギの目にも「心」を感じます。
近年、「土の力」「土の良さ」をしみじみ感じるようになったそうです。
「御簾を下ろして、自分ありきの世界にとどまる」時期を経て、
「お客様ありき」
「自分のため」というより
「誰かのため」
「今までの恩返し」のモノ作りと考えるようになったとか。
ロータス カップ
紆余曲折を経て、気持ちがほぐれ、世界観が変わってきた。
「酵素分解」した心で、広がった「創作」を、整地しながら進んで行きたい。
キラキラ輝く森恭さんの目に、これからがもっと楽しみになりました。
森 恭 展 9/23(日)まで
9/22(土)・9/23(日)ご本人在廊です。
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